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[nikomat 10283] Re: fj.rec.photo
日浦です.
川口さん:
> fj.rec.photoでZeissレンズの発色の話題が続いているようです。
> あそこは、ちょっと雰囲気が悪いので、MLで意見を伺おうと思います。
すみません,元凶かもしれません.
> Zeissレンズは分光透過率のピークがXXにあるので発色が重厚、との意見に、
> CCIを計算する際には、分光透過率の相違の寄与は小さい。むしろ、フレア
> などの他の要因が大きい、と日浦(慎)さんが反論した。
> という感じの議論の流れだったと思います。
違います.
当然のことですが,CCI には分光透過率がモロに効いてきます.
逆に(白色光で測定するので)フレアはまったく CCI に影響ありません.
画面内にある色の物体があっても,周囲が別の色だと,迷光,ベイリング
グレアによってその中心の色が周囲の色に引きずられます.これが問題
だと言っているわけですので,画面全体が単色の場合問題ありません.
私が「分光透過率はあまり影響がない」と言っているのは,このカラー
バランスの問題ではなく,演色性の問題です.蛍光灯みたいにギザギザの
スペクトル特性だと問題があるのは当然ですが,それでも写真用や色評価
用の蛍光灯もまだかなり波打ってます.(5波長とか7波長タイプですが)
それでも人間の知覚にはほぼ問題ないとされています.
#色評価ボックスみたいなのが売ってますが,あれ,光源は蛍光灯です.
#数種類の蛍光灯を切り替えていくつかの標準光源の色を出してます.
ましてや,せいぜい 1% 程度の差しかないレンズの分光透過率は,カラー
バランスには影響を及ぼすことはあれ,(同じカラーバランスのレンズ同士
や,CC フィルタで補正したレンズ間で)レンズの分光透過率の違いが
演色性として有意な差を生じることはない,ということを言ってる
わけですね.
> ZeissレンズがヤシコンのZeissということならば、思い当たる節があります。
> 写真工業誌のカメラテストの露光特性を見てみると、
> Contaxの像面露光量は、2/3EVから1EVアンダーに設定されているようです。
> Nikonの像面露光量は、約1/3EVアンダーに設定されているようです。
> アサヒカメラ誌85年12月号のNikon F-301のニューフェース診断室によれば、
> Nikonの像面露光量の設計値は、0.08lx・sで、低めに取ってあるそうです。
> 標準の像面露光量は多分、0.1lx・sでしょう。そうすれば1/3EVアンダー
> の辻褄が合います。
>
> さて、Contaxの2/3EVから1EVアンダーという設定は、リバーサルフィルムを
> 使用した場合、十分に発色を変えうる値であると思います。
> 重厚な発色の正体は、露出アンダーのリバーサルフィルムの発色なのでは
> ないでしょうか?
有り得るかも.特に「印象」とかいうレベルには大きく影響しそうです.
こういう,組み合わされるボディの違いとか,いろんな要因が大きすぎて,
一体なにが原因かわからないのに,単に分光透過率のグラフが雑誌に載って
いるからといって,単に「分光透過率」が演色性(カラーバランスにあらず)
に影響がある,という主張をなさる方があって反論してたわけです.
#実際にはフラットに整えるのが理想でしょうけれど,それ以前に
#フレアの防止と,カラーバランスの調整が第一だと思うんですけどねぇ..
#いくら分光透過率がフラットでも,迷光が多いと元も子もないです.
では
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日浦 慎作 Shinsaku HIURA
大阪大学大学院 基礎工学研究科
システム人間系専攻 システム科学分野
〒560-8531 豊中市待兼山町 1-3
TEL:06-6850-6372 FAX:06-6850-6341
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