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[nikomat 11106] Re: Human error always occures at mostimportant situation
川口です。お久しぶりです。
> ひうらっす.
>
> > やぁ、rin@NewFM2です。
> > > 丹後屋す
> > >
> > > > だから色の付いた半透明の膜が重なり合ったようになってるんじゃ
> > > > なかったかな.ほぼすべてのカラーネガフィルムで,各層が感じる色の
> > > > 順番は同一だったと思います.だからどれも似たような肌色なんでしょうかね.
> > > で、結局、ヤァリンが知りたかったのはこの色のことだと思うんだけど、、、
> > > 違うのかな?
>
> この色,ってどれのことか分からないんですが・・
> 「肌色」のことですか??
>
> > このことです。
> > 結局は色が無い半透明が正解なのかな?
>
> ちなみに,フィルタは3色すべてそろっているわけじゃないんで,
> (3層のフィルムの場合,フィルタは2つでOK)
> 合わせて色づきのない(ニュートラルな)半透明とはならないと思いますよ.
>
> #例えば前の例で,緑,赤,青の順に感光層があるとすると,
> #緑の下には緑を通さない層(マゼンタの層),次に赤を通さない層
> #(もしくは緑と赤を通さない層,つまりシアンもしくは青の層),
> #という順序になるはずなので,透過色は青くなるはず.
>
> これ,感光層の順番を変えると,もちろんまた変わってくるだろうし,
> 反射色については途中の乳剤層の散乱を考えないと行けないと思います.
> でも結局どのフィルムも似たり寄ったりなのは,物性的(化学的)な条件
> から最適な順序が決まってるんではないかと思う・・・というような意味で
> 上記の文を書いたわけです.
カラーフィルムの層構成は、一部の例外を除いては、
青感光層/黄フィルター/緑感光層/赤感光層/ハレーション防止層/ベース
になっています。ハロゲン化銀固有の感度は紫外から青に存在します。
緑と赤感色層は、シアニン系色素で分光増感して感度を持たせています。
分光増感したハロゲン化銀でも、固有感度域の紫外から青に感度を持つので、
青感光層の下に黄フィルターを置いて青色光をカットしてやる必要があります。
分光色素の吸収は緑のみ、赤のみであるので、緑感光層と赤感光層の間には
フィルターは不要です。
幸運にも、人間の目の青−黄に対する解像力は、赤−緑よりも相当低いので、
青感色層の乳剤は、まばらでも問題ありません。
平板状粒子では、粒子上面と下面の間で一種の干渉膜を形成するように
粒子厚みを制御して、光の透過、吸収を制御することも行われているそうです。
ハロゲン化銀自体の色は、白又は淡黄色です。
乳剤は、ゼラチンにハロゲン化銀粒子を懸濁させた状態なので、基本的には
乳白色です。
分光増感色素はハロゲン化銀に単分子吸着程度の量で使用されるので、あまり
色には変化を与えていない筈です。
フィルムの色は、殆どがハレーション防止層の色です。
ハレーション防止層を持たない、Kodak ハイスピードインフラレッドは、
表から見ても裏から見ても、薄い黄緑色をしています。
> まあそれより根本的な疑問として,感光しただけでは色はそう
> 変わらないんじゃないかなぁ.ネガカラーは現像時に色素を
> 発色させる方式なんで,現像するまでは色素の化学変化はないので.
フィルムの乳剤の色は、べろの部分と殆ど同じ色です。
実際に引き出すと分かると思いますが、多少薄い色の乳剤が現れます。
ただ、それだけです。
1μの乳剤粒子には10^10個程度のハロゲン化銀粒子が含まれます。
光反応によって、この粒子中に4個以上の金属銀が生成すれば、
この粒子は現像可能となります。
通常の露光レベルでは、20個程度の金属銀が生成すると言われています。
10^10個のハロゲン化銀分子中、20個が金属銀として黒化しても、
ハロゲン化銀粒子全体は元の外観を保ち、変化は見えません(潜像)。
したがって、通常の露光レベルでは乳剤の外観に変化を生じることは
ありません。
現像主薬は、金属銀が生成したハロゲン化銀粒子を選択的に還元し、
粒子全体を黒化銀に変化させます。この段階で初めて目視可能となります。
光に当てただけで黒化するような乳剤は、POP(Print Out Printing)
感材と呼ばれていて、非常に特殊な用途にしか使用されません。
yujiro kawaguti(川口 裕次郎)
e-mail ykawa@olive.ocn.ne.jp