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[nikomat 21006] [---yota] Overseas Steam Engins 1 (Re:鉄の方へ)
宮崎@新世紀初登場っす。
ご無沙汰しております。
まごめ師に召還されて出て参りました(遅くなって済みません)。
カメラ度ない上に、長いっす(最近虎ふぃっく少ないから出しました)。
しかも相変わらず、脱線が多いっす。
追加:長いので分割します。
お急ぎの方・興味のない方、次へどうぞ →
まごめっすさん:
> 朝NHKを見ていたら、来週のBSで1週間の間、「世界のSL」のよう
> な番組を紹介していました。
やっていましたねー、私も見ました。
番組案内はよくご覧になりましたか〜?
HI−BSなんですよ、これが!
デジタル・ハイビジョン放送です。
まだチューナーもTVも大変高いですよねー
私の回りも、誰も持っていません。
その件に関し、既に何人もの人がNHKに直接電話を掛けて聞いて
います。
「BSや地上波で放映する予定はないのですか?」
「今のところ、BSや地上波で放映する予定はゴザイマセン!」
これ、結構顰蹙かっています。
番組自体の企画は去年中頃にはスタートしているわけで、ドイツの
収録は冬です(12月か1月頃と思われる)。
ミャンマーは2月収録。
キューバと中国は3月収録と判明しています。
「HI−BSって、始まったの何時だっけ?」
「去年の12月」
「では、番組の制作費は一体どこから出ているんだー!?」
「番組制作費の費用がどこから出ているか詳しくはわからないけど、
間違っても、HI-BSの受信料からじゃないよね」
「地上波の受信料とBS受信料から集めたお金で、支払った者が受
信来ない番組を作るんじゃない!」
と言う感じです。
そりゃそうだわな。
しかも海外の地方への取材で、番組制作費は安くないもの。
一部では芸能人も同行させて居るみたいだし。
> ドイツ・中国そして、キューバ!
>
> キューバにはSLが残っているんですね。
ありますよー、製糖工場専用ですけどね。
> ナレーションでは「後10年で絶滅するといわれており・・・」とか
> 言って居ました。
もうちっとは生きると思います。
一昨年あたり、中国ではまだ新車(!)を作っていますから。
小型機じゃなくて、線路幅1435mmで装備重量(燃料満載状態)100t
を越える中型機、上游型です。専用鉄道や専用線・製鉄所が働き場
所になると思います。
> さらに、「もっとも人間に近い機械」とか。
と昔から言われてきましたが、それを追い掛ける鉄チャンは、
「もっとも機械に近い人間(意味不明)」とも言われていました。
> 絶滅品種は取ってはいけないが撮るならOKすね。
最近は保護動物に近いっす。
> → 宮崎隊長はキューバ遠征はまだしていない?
残念ながら、まだしてないです。
私は「ユーラシア大陸の男」っすから(なんだそれ?)、アフリカと南米、
東南アジアの南の島々も行っていません。
あと、撮影すると間違いなく掴まり、連行されるおろしゃのシベリアあ
たりの入れ換え機関車も見に行っていません(掴まりたくない)。
ソ連は1987年に蒸気機関車を全廃したと宣言したのですが、1980年
代後半の経済崩壊以降、入れ換え用に復活させてこっそり使ってい
ます。シベリア鉄道沿線で数両の稼働が確認されているぐらいだから、
地方では列車を引いているのではないかという噂もありますが、さす
がに相手(おろしゃ公安)は手強いので、年季の入ったイギリス鉄や
ドイツ鉄も詳しい調査はしていないようです。
旧ソ連系の国って今でもそういう所なのですよ。昔の東ヨーロッパは
開放されて、ほぼ問題なく写真撮れますけどね(正式にはいまだに鉄
道施設撮影禁止の国も多い:ポーランド・ルーマニア等。ただしこれは
昔の法律をそのままにしているだけという噂もある。ちなみに西側でも
スペインという国はかなり変で、法律上は鉄道撮影禁止です)
キューバは個人旅行も出来ますし、鉄道自体の撮影も可能です。
キューバで現在蒸気機関車が走っているのは、専用鉄道のシュガー
トレインのみで(国鉄線はとうの昔に無煙化)、私も行きたいのですが、
シュガートレインは運行される期間が短いのです。同じサトウキビでも、
国や地域で刈り入れ時期が異なり、その「旬」を逃すと殆ど走っていな
いところが多いのです。
キューバの場合、2月頃から3月頃までがピーク(その年の気候により
左右される)で、場所が遠いので、最低1週間コースになります。撮り
に行く場合は、中5日休んで9日連休にして訪問するのが通常(どこが
通常なんだろう?)のパターンです。
でもこの時期、5日間なんて休めないですよね(会社を辞めなければ...
おおっ、最後の手段か?)。東南アジアなら、3泊4日とかの強行軍も
あり得ますが、キューバでは短い日程は無理なのでいまだに訪問でき
ておりません。
キューバは今だに経済封鎖されており、そのお陰もあって蒸気機関車
が生き残っています。全島で数十カ所ある製糖工場の専用線でその
姿が見られます。機関車は、キューバ国鉄線と同じ線路幅(1435mm)
の物から、線路幅1m以下のナローまで様々です。
キューバでは経済難から、昔輸入した1950〜1960年代のアメ車がボ
ロボロになりながらも走っていることで有名ですが、鉄道も全くそのま
まで、古い機関車は1900年代初頭の物まであり、主に第二次世界大
戦前のアメリカで作られた古い機関車が今でも使われています。燃料
は重油(多分、石炭が取れない)で黒煙を上げ、春先を中心に運転さ
れています。カストロが転けて体制が大きく変わり、経済封鎖が解か
れたら、サトウキビ産業もろともどうなるかわかりません。
ちなみにキューバ以外で今も走っているシュガートレインのSLは、
ミャンマー 11月〜3月(本線用大型機使用)
インドネシア 6〜8月(小型機関車)
フィリピン やはり夏(小型機関車)
フィリピンはネグロス島が有名でしたが、もう殆ど稼働していません。
インドネシアでは今でも数カ所で使われていますが、現在は大分減っ
ています。
インドネシアは経済も発展してきて(ここのところ足踏みかもしれませ
んが)、ディーゼル化も進んでいますが、ここの小型機関車の燃料は、
サトウキビを取った後のバガスと呼ばれる絞りかすなので、燃料代が
かからないため、まだ残ると言われています(だけど雲行きは怪しい)
ミャンマーはキューバ同様世界的経済封鎖を食らっているので、いま
だに蒸気機関車を本線で使い(ミャンマー以外で国鉄本線で蒸気機
関車を使っているのは、中国と北朝鮮ぐらい)、2年前頃は白昼堂々
首都ヤンゴン(旧ラングーン)の中央駅に客車を引いて1日1回現れ
ていました。何も知らない海外からの観光客は、駅で見たら驚いたと
思います。もっとも、動態保存機関車の特別運転と思われてしまった
かもしれません。
稼働可能なSLは常時10両以上あるのですが、普段は2〜3本の旅
客列車用に使い、それ以外は臨時で走る貨物列車に使われていま
す(波動輸送用)。季節的に発生するシュガートレインも蒸気機関車
がひいています。ここも石炭が出ないので重油炊きになっていますが、
しつこく使い続ける理由は、「経済援助がなく、お金がないから」と言
う理由です。
ミャンマーでは、軍事政権以前に輸入された西側ディーゼル機関車
(フランス・ドイツ製)と、第二次大戦後のビルマ独立直前に植民地統
治国イギリスから最後に輸入されたイギリスタイプの蒸気機関車、
性能が良くないと評判(?)の、最近輸入された中国製ディーゼル機
関車を使っています。
以下、勝手に引用したNHKの Web Site から、抜粋と突っ込み(説明
補足)をします。
> ハイビジョンスペシャル
> 「煙はるかに 世界SL紀行」(1)
> − 魔女の森に汽笛が響く〜ドイツ・ハルツ地方 −
>
> BS-hi
> 4月23日(月) 19:30〜21:30
既に昨夜放映されたようです。
> ドイツ北部、深い森に覆われたハルツ山地。旧東西国境にあたる
> この地域で、冷戦時代の長期間途絶えていた路線が、東西統一
> 後復活した。
以前MLにも投げたけど、「ブロッケン山の妖怪」で有名なブロッケ
ン山とは旧西ドイツと東ドイツの境目にあたる山岳地帯にあります。
ここは妖怪以外にも登山で有名な山で、戦前には山頂まで上り詰
める路線が麓の路線から分岐していました。
第二次世界大戦が終わると、ちょうどブロッケン山の麓に国境線が
引かれてしまい、ブロッケン山と線路幅1mのナロー(狭軌)鉄道は
ギリギリで東ドイツ側に組み入れられてしまいました。戦後の東西
ドイツ分裂以降、ブロッケン山は長い間登山禁止でした。
嘗ては観光山岳路線として賑わったブロッケン線の旅客営業運転
は中止となり、軍事目的の列車だけ運行されるようになりました
(東ドイツの末期は?)。麓からブロッケン山周辺地域は民間人(東
ドイツ人)立入禁止になったのです。国境線沿いには、金網と地雷
原・監視小屋が東ドイツの手で作られ、シェパードもいました。この
厳重な警戒は、1990年頃まで車窓から見られたそうです。一番近
いところでは、線路から数百メートルのところが国境線でした。
ブロッケン山の山頂にはコンクリート製の無機質な建物がありました
が、それは旧ソ連のレーダーサイトでした(今も建物だけはある筈)。
1990年頃からブロッケン線の復活作業は始まり、実際の復活は、
1991年〜1992年頃だと思います。1991年5月に私が通った時は、
まだ未開通でした。当時は旧東ドイツ国鉄(DR)の経営で、動力車
両は全てSLでした。現在はSLとDL、路線によってはディーゼルカー
が入っています。
ブロッケン線は、山の山頂目指してぐるりと回っているのが特徴で、
最後は螺旋状に山頂のすぐ近くまで伸びています。1998年にはブ
ロッケン線に乗りましたが、見事な濃霧で山頂からは何も見えませ
んでした。
霧は出たのですが、残念ながら「妖怪」は現れず。
時は流れ、今は私鉄化されたこの鉄道の公式サイトもあります。
これでダイヤも解ります。
http://www.hsb-wr.de/
トップページに簡略路線図がありますが、そこの「グルグル」がブロッ
ケン線です。見る分には楽しいのですが、乗っていると余りわかりま
せん。
掲載の路線は線路幅全て1mで、現在は全て繋がっていますが、緑
色の路線と茶色の路線は歴史的には別路線であり、Eisfelder Talmuhle
〜 Stige 区間は、戦後ソ連が線路と機関車の一部を本国に持って行っ
てしまい、ドイツ統一頃まで永年切れたままでした。
> 険しい山間を登っていくのは50年以上前に作られた蒸気機関車た
> ち。古いSLを完璧に整備し、雪山を疾走させる鉄道マンたちの情
> 熱を描く。また、この山は今もなお魔女伝説が残る“魔女の地”。
> 伝説の中に潜む地元の人の魔女に対する愛情と、SLとの意外な
> 共通点を探っていく。
意外な共通点は別にして...
上記文章の中では「50年以上前」とありますが、ここの機関車は戦前
製造の古いタイプと戦後それを再生産したタイプ、更に古いタイプがあ
り、ブロッケン線に入るのは戦後増備型が殆どだと思います(と言って
も製造後40年は経っている)。この戦後増備型機関車の製造元はメー
カー名ではなく、略称「KLM製」となっていますが、KLMとは「カール
マルクス工場製」の省略らしいです。社会主義時代の残骸ですね。
続く。
(株)リコー 秦野事業所 宮崎 昭彦
E-mail:amiyazaki@nts.ricoh.co.jp