[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[nikomat 27310] Re: D100(2)(2)



ひうらっす。

>>フィードバックももちろんですが、きちんとしたマーケットリサーチの結果として製
>>品が存在しているということを今回ほど強く感じたこともありませんでした。
>>言い換えますならば、私達はたまたまこのMLや、ネット上のカメラマニアが沢山集ま
>>るところ「しか」見ていないので「絞りリングがなくなる、こりゃ大事件だ」と思っ
>>てしまうのでしょうが、現実には全然売れてないってことなのではないでしょうか。
>
>同感です.

わたしも、ある意味同感ですね。
ただし、悪い意味での、マーケット主義というのもあると思います。

京セラが、今までのMFコンタックス類を日干しにして、N系で、デジタルと、
Kiss 系の量販分野になんとか入ろうとしている(この辺が京セラの得意分野とも
いえるし。)またニコンも、デジタルカメラと、U の下に Us を出したりして,
この両者に最も力を入れている。

今SLRで最も出ているのは、この Kiss の市場で、小金持っている一般ユーザは
PCとかデジタルカメラに金を使ってしまうので,あまり中級SLRは売れてないと
言われています。

だからカメラメーカが、デジタルと、(デジタルに抵抗感のある)入門者向けの
機種に力を入れるのはよくわかりますし、メーカとしては正しい方向なのでしょう。

しかし、非常に身勝手な1ユーザの立場から言わせて貰えば,どのメーカも同じ
ものを作る必要はない。全てが「キヤノン化」(悪い意味ではないですよ,乾さん)
してしまうのであれば、キヤノンを買えばよろしい。

自動車メーカでも似てますね。日本は、たいていのメーカがフルラインアップで、
量販層を押さえていますが、海外にはポルシェ、フェラーリ等のプレミアムメーカ
もありますし、その他にも,得意分野の明確なメーカが多いです。
その、小さ目の市場で,独自の価値を保ちつつ、一定の利益を確保する、という
のが1つのスタイルになっていると思います。

が、日本では,どうしても、売上を伸ばすことが正義のようになっていて,
また「隣の芝は青い」とばかりに、成功メーカの後を追う傾向があります。
これをして、悪しきマーケット主義という。
その結果,価格競争、体力勝負になり、最後は共倒れとか。

ニコンにはニコンの得意分野、持ち味がある(その一例が,レンズの互換性・
汎用性であったり、MF系システムの併売・併用性であったりする)のだから、
その利点、美点をみすみす捨てなくてもいいのではないかというのが、
私の意見の根本にあるのだと思います。

----

また、先日来読んでいました、コニカ内田氏の「ブレークスルーへの挑戦」という
本があります(カメラの本ではなく、製品企画・開発などに関して、一般性のある
話題が中心になっています)が、これには以下のような例がありました。

ユーザのニーズには、顕在ニーズと潜在ニーズがある。
顕在ニーズを追っていると、短期的には成功するが,必ずしも大きな飛躍はない。
潜在ニーズは、提案型(シーズ)的な「市場の掘り起こし」の側面もあり、
難しいが,当たると大きい。

例として上がっていたのが、

・ピッカリコニカ
 それまでは、誰もカメラに大きなフラッシュを内蔵しようとは思わなかった、とい 
う、
 今では信じられない状況。が、フラッシュの内蔵により、レンズの明るさを暗く出 
来、
 シャッターの低秒時も省けるなど、結果としてシンプルで、逆に安価コンパクトに 
なった。
 という、現代のコンパクトカメラを生み出す原動力になったカメラ。

・ジャスピンコニカ
 ハネウェルのAFモジュールを、他社は「こういうAFは特殊用途からまず使われ 
るから,
 高くて大きくてもかまわない、一眼レフ用の特殊レンズとして使おう」と考えた。
 しかし、社長の命令で、ピッカリコニカに組み込むことに。結果として,コンパク 
トカメラ
 利用者層の潜在的な買い替え需要を喚起し、大ヒットに。

・ビッグミニ
 ズームなどで、どんどん多機能化・高価・重量化するコンパクトカメラ市場に、突 
如出した
 軽量カメラ。その後、ニコンミニやオリンパスミュー等の追従者を出した。
 これも潜在ニーズの例

が出ていました。

これをニコンとキヤノンの例で考えると、やはり、キヤノンは提案型の開発をしてい 
る。
多点測距・IS・USM・視線入力など。で、ニコンはこれをブラッシュアップして 
後を
追う、という形。しかし後を追うだけではどうにもならないのは、自明です。

ニコンの持ち味というのは、ほかにも、耐久性(がある、と信じられている。絞りリ 
ングは
壊れるらしいが・・・)というのがあり、このあたりが、おそらく小城さんが、キヤ 
ノンに
せずニコンを使われる理由だと思いますが、いずれにせよ、なにかの持ち味がなければ
追従者は先行者には勝てません(小城さんが、キヤノンではなく、ニコンにされる理 
由は、
また別のものかもしれませんが、いずれにせよ、それがニコンの持ち味なのでしょう) 
。

が、だんだんとその持ち味が薄れている。絶対的に、ニコンのほうがキヤノンより耐 
久性が
高いとは、私は思っていません。キヤノンもその辺は分かっていますから,ずっと改 
善を
図っていまして,追従者の利点を失わせるように動いています。防滴防塵対策はキヤ 
ノンは
かなり優れているようです。

今、ニコンが持っている持ち味とは何か?
それを大切にしなければならないのではないか?
と私は思うわけです。

絞りリングを廃止して,あれがよくなった、これがよくなった、と言ったところで,
どの点を見てもキヤノンに追いすがろうとする側面しかなく、提案性はないし、
持ち味は薄れるし、といったところです。

私としてはいまさら AF-S VR "G" のような「某社同等品」を買うぐらいなら
F100 売って、EOS にしますね。

では

----
 日浦 慎作  Shinsaku HIURA
 大阪大学大学院 基礎工学研究科
 システム人間系専攻 システム科学分野
 〒560-8531 豊中市待兼山町 1-3
 TEL:06-6850-6372  FAX:06-6850-6341
 http://www-inolab.sys.es.osaka-u.ac.jp/users/shinsaku