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[nikomat 38892] Re: エメラルド



ひうらっす.

かなりヲタク,というか,技術的な内容で申し訳ない ^^;

日浦R:
> > けど,最終的にはRGBの3要素にして出力するので,
> > 分光感度のチューニングがしやすいという,カラーフィルタの
> > 素材上の制限を回避するということになるのでしょうね.
>
>マイナス感度(青緑の波長(青や緑の各感度とは違うカーブ)が
>赤の感度を抑制する)についてはフィルタ素材ではどうしようも
>なくて,入力としては4要素必要で,引き算を電気的に処理する
>しかない,と理解しているんですが。

各波長に関するRGB 値の感度(RGB表色系の等色関数)は
負の値を持ちますが,
各波長に関する XYZ 値の感度は負の値を持ちません.

#XYZ 表色系というのは,よく,プリンタやモニタのカタログで
#「色の再現範囲がこんなに広くなった」とかいう説明に載せられている
#図の座標系(XY 色度図)ですね.下記ページ下にあるようなもの.
# http://www.i-love-epson.co.jp/products/printer/inkjet/pm980c/pm980c1.htm#ink

で,XYZ と RGB の各表色系の間は3次の一次変換で変換できるので
XYZ のフィルタを持つセンサで測定してから変換の計算をすればOK.
今は発売が中止されているようですが,クラボウというメーカが
そういうカメラ(XYZ 三刺激直読型カメラ)を出していました.

同様に,ミノルタなどのカラーメータも RGB や XYZ の3刺激値が
読み出せますけど,センサは3つしか持っていません.
(つまり,4つないと,正確な色が測定できないということはない)

XYZ 表色系は負の値を持たないので取り扱いがしやすく,色彩関係の
科学ではこちらが主に使われます.

ではなぜ RGB があるかというと,等色実験といって,「ある波長が,
どのような色(3つの原刺激の混合)に見えるか」という実験をする
ときに,原刺激として R, G, B それぞれ700nm, 546.1nm, 435.8nm の
単波長刺激(レーザみたいなもの)が用いられたから,ということに
なっています.(こういう実験が20世紀の初頭に精力的に行われた
結果,1931 年に RGB, XYZ の等色関数が CIE という学会で
確定されたので,CIE 1931 表色系などと呼ばれる.)

>入力は分光的に人の目にあわせなければならないけど提示デバイス
>はレーザのような単色3光源でOKってのと一緒で。

これは逆で,入力系としては,負の感度を持たないものでもOK.
(例えば,Y = R+G, M = R+B, C = G+B というような感度を
 持つ3つのセンサ(補色系)で計測しても,例えば
 R = (Y+M) - (Y+M+C)/2 という計算で R が復元できる
 という具合.この場合,R の感度に負の特性を持たせることが可能)

しかし,3つの原刺激を混合して色を表現する出力系としては,人間が
知覚しうる全ての色を表現するには負の値が生成できなければならない.
(XY 色度図中で,原刺激の3点を結んだ三角形内の色のみ表現可能)

あともう1つは,例えば,ある色を測定して XYZ の値を得て(これは
必ず正の値)これを変換して RGB の値にすると,ここで負の値が
出てくることがある(R 値のみ).しかし負の R はディスプレイでは
表現できないので,やはり色再現できない.

> > 銀塩写真システムも,最終的には印画紙の発色の3自由度に落ちる
> > んですが,フィルムは入力だけでなく,出力もRGBの3要素ではなくて,
> > 分光的なので,その分意義が大きいということになるかな.
>
>フジの「第4の感色層」は,現像後発色することは無くて,赤の層を
>インターイメージ効果で抑制するしくみになってるみたいです。

そう,だから,演算可能な値ではなく,光(負の値がない)として
出力せねばならないから,抑制効果が必要になる,と.
これが,ちょうど,上で書いたところの「一次変換」と同じ働きを
するわけです.