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[nikomat:02801] Re: Lenses aperture and photo results



日浦@阪大です.

SATO Yoshiyuki さんが  8:27 PM 97.3.6 +0900ごろに
>> >明るさが同じなら、像の大きさとボケ量の比は一定-->ホント?
>> 
>> 背景が無限遠と仮定すると,像の大きさとボケ量の比は,入射瞳径
>> (=焦点距離/F値)で決定するのではないでしょうか.
>
>50ミリF2のレンズと100ミリF2のレンズで、同一距離で同一物体を
>撮影するとします。
>50ミリで撮った物体が 1の長さで結像するとすれば、100ミリのほうは 2の
>長さで結像することになりますね。

そうですね.撮影距離が一定ですので,ここでは仮に,
10[mm] の物体が, 50mm レンズで 1[mm] に
            100mm レンズで 2[mm] に
撮影されていた,つまり倍率はそれぞれ 1/10, 1/5 としましょう.

>このとき、無限遠点のボケは
>50のほうでは、50/2=25がボケ量、100のほうでは100/2=50がボケ量。
>物体像に対するボケの比は、ともに1:25。

とされていますが,ここで誤解なさっていると思います.
一般にボケ量とは,フィルム面上でのボケの大きさを指しますが,
私が先のメールで説明したのは「対象とボケの大きさの比率」を
直接表す量として(焦点距離/F値)を挙げました.

ですから,対象物体とボケの比率は,対象物体を基準として
 50mm レンズでは  50/2 = 25[mm]
100mm レンズでは 100/2 = 50[mm]
となります.

フィルム面上でのボケの大きさ,一般に言うところのボケ量は,
これに撮影倍率を乗じて
 50mm レンズでは 25/10 = 2.5[mm]
100mm レンズでは 50/5  =  10[mm]
と,焦点距離の2乗で効いてきます.
 
>50のほうが24x36のネガで、100のほうが48x72のネガならば、
>2つのネガは相似。 正しいですか?というのが私の疑問でした。

ということで,フィルム面上でのボケの大きさが4倍異なり,
相似変形してもボケ量は倍異なりますので,ネガは相似とはなりません.

なぜか?相似の像を得るためには,50mmF2,24x36 のときの被写体
の倍の大きさのものを用意して,倍の距離はなれて 100mmF2,48x72
で撮影すれば相似のネガが得られます.被写体から見た,見かけの
レンズの大きさが違いますので,ボケの大きさが異なってくると
考えることもできます.

中判より35mmが,さらに APS ではピントが合いやすいのはこのせい
なのですね. ついでにいえば,ミノックスなんて,もっと適当でも
ピントがでるはずです.大きなボケを得たいがために中判を使うとい
う理屈もよく分かります.

最近はやりのデジカメでも,安いやつでは 1/5inch の CCD を使って
いますから,明るい目のレンズでもパンフォーカスできるわけです.

おっ,最初の話題に結びつきましたね ^^; 明るいレンズでパンフォー
カスを得るには,全体をそのまま縮小すればよいのです.ドラえもん
にスモールライトを借りてきて,1/10 ぐらいに縮小して撮影した
フィルムをビッグライトで大きくすると,粒子の問題も解決です^^;;;

という冗談はさておいて,銀塩写真では粒子の問題がありますし,
デジタルカメラでは単位面積当たりのエネルギーが減ることによる
感度低下が問題となります.もちろん波動光学効果も問題です.

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無限遠景のボケの大きさに関する,まとめ:

同一F値・同一撮影距離では,焦点距離が倍になると
 ○フィルム面上のボケ量は4倍になる.
 ○被写体とボケの比率は倍になる.

同一焦点距離・同一撮影距離で,F値が半分(明るさは4倍)になると
 ○フィルム面上のボケ量は倍になる.
 ○被写体とボケの比率も倍になる.

同一F値・同一焦点距離で,撮影距離が半分(倍率が倍)になると
 ○フィルム面上のボケ量は倍になる.
 ○被写体とボケの比率は変わらない.

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被写体とボケの比率=焦点距離/F値

フィルム面上のボケの大きさ=被写体とボケの比率×倍率
             =(焦点距離/F値)×(焦点距離/撮影距離)
             =(焦点距離)^2 /(F値×撮影距離)

ただし,レンズ繰り出しに伴う像倍率と有効F値の変化は無視する.
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>> >> > デジタルスチルカメラでボケ補正処理ができれば、
>> >> > これぞパンフォーカスになります。
>> >> 
>> >焦点距離を微妙に変えた何枚かの画像データから復元できないっすか?
>   実は「“焦点”を微妙に変えて」というつもりでした。

ですね.遠近あちこちにピントが合った画像を合成して,全体にピントが
あった画像を作ろうというものです.

また別に,いくつかのぼけた画像を解析して,被写体距離を計算するという
研究もあります.

>> 児玉和也, 相澤清晴, 羽鳥光俊: 複数画像からの全焦点画像の再構成,
>> 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU'96) 講演論文集 I-49 (1996)
>> 
>> というそのものずばりのものが手元にもあります (^^;;
>おぉ、やっぱり研究されているんですね。
>この場合、複数画像はどういう得られ方をした画像なんでしょうか?

具体的な機器については述べられていないのですが,焦点合わせに伴う
画像サイズの変化は,拡大縮小により既に補正されたものとしているよ
うです.

最近 2/3inch の CCD は生産中止で,1/2 を通りすぎて 1/3 や 1/4
以下が主流となりつつありますから,ボケの問題は減少しつつあります.
         ---         日浦 慎作   Shinsaku HIURA        ---
         ---  大阪大学 基礎工学部 システム工学科 DC2   ---
         --- Dept. of Systems Engineering, Osaka UNIV. ---