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[nikomat 1536] Re:Bessa-L
よしだ っす。
In message <199901291849.DAA75094@ml.asahi-net.or.jp>
at Sat, 30 Jan 1999 03:48:34 +0900
"[nikomat 1448] Re:Bessa-L "
Shinsaku HIURA <shinsaku@vision.kuee.kyoto-u.ac.jp> wrote :
> むしろ、最終的に理解する、またそれに対して真剣に努力することが
> 勝利であり、納得していないのになんとなく経験則のみに頼って
> 研究を行ったり、大家がおっしゃるようなことにはいっさい逆らわず
> 自説を取り下げるようでは研究者として不正直だと思います。
>
> #常識をもって行動する人は人生においてなんらの選択も行わない。
> #と言う言葉が、朝日新聞の芸能欄にも引用されていました ^^;;
もし 私のことを 言っているなら、、、
# そう書いたメールが 有りましたよね。
兄じゃ の 誤解&曲解です。
(理屈の代わりに)常識を「理由」にして 書いては いません。
きちんと原因を書きました。
ただ、兄じゃが その効果の大きさを知らないようなので、
「メカ設計の常識」として使われるくらいの効果を持って
いる。。。と 言ったまでです。
# ファンデルワールス力 や カシミール効果 の 大きさを
# 数式で 書けるほど、その分野の知識は無いし、それを
# 知る以前に 知りたいことが 山ほど在る。
他の事についても、一応 ちゃんと 原理を説明した上で、
もしくは「原理は 知っているだろう」と思ったことについて
は 説明を省略して、実験結果を述べました。
# 原理を省略した部分についての納得のいく説明は、少なく
# とも「工業力学」の授業で習う と 書いたはず。
# 普通の教科書に出ていることを 事細かに ここで 私が書く
# 義務も無いし、そんな時間も無いです。要点だけは述べた
# のですから、それで 十分だと思ってます。
「屁のつっぱりにもならない」と揶揄された事柄については、
少なくとも 教科書だけで 締結の力学の基本を知る人にとっては
「納得して理解している」ことの実例としての意味を持ってい
ると思います。
# 私自身、計算で 得られても、やはり実物(何が無視できて、
# 何が無視できないかは、「加工」という「不確かさを持つ現
# 実」を見て、初めて 実感するものです。
# それは、現実 と モデル の 相違の有無を検証するという意味で。
また、私としては、兄じゃの知識が分からないので、どこから説明
したら良いかも分からない。
だから、いくつか 実験例を挙げて、そういう中でも 兄じゃの理屈
が通ると思うのか、兄じゃ自信に考えて欲しかっただけです。
# 実験結果で、言いくるめようとなんか してません。
# 実験結果で、もっと 兄じゃ を 考えさせよう としただけです。
なお、修士のときの研究室での実験例は、兄じゃが 考えている以上
に 厳密&精密な実験ばかりです。緩み〜微小トルク締付け〜破壊ま
でだし、ネジもネジ面の研磨 や 転造 まで 色々、精密ネジ そのも
ので やってます。
# 「titの精密工学研究所の実験」が「本物のネジの代替物」とか
# 「大きな力だけ」で やられている と 思うということ自体、
# 関係者から見れば「馬鹿にするにも 程がある」と叱られるくらい
# の侮辱になっている。。。ということを ご理解下さい。
> で、
> おっしゃるとおり、「最終的に締めつけられた状態では」、応力は
> 分布常数的に発生する(だって、対象は至る所 弾性体だし、
> 応力が加わるところもまた分布している)わけですから、
> ねじと座面に一番近いところがもっとも力を受けるのは
> 当然です。これは、よしださんがおっしゃったように、
> ねじ切れるのはほとんど第1山から・・ということからも
> 言えるでしょう。
締結の瞬間というものは 不安定な状態です。
締結の前には ネジに応力はなく 歪みも無い。
締結した時には、応力も 歪みも発生してます。
だから、コンプライアンスだけで考えるとき、締結している状態
は すでに 不静定問題 に なってます。
力の大小が 問題になってくるのは、塑性域に入ったときです。
ミッチー:
> > これが違うと思います。
> >
> > 座面||
> > | V V V V ... 雌ネジ
> > | | | | |... 雄ネジ
> > 0 1 23 45 67 ...
> >
> > 座面を0として、断面から見て図のように1,2,3,...とします。便宜上、図の山
> > 毎に分かれているものとします。座面が接触してからさらにネジ込まれると、
> > 本来変形する必要があるのは0-1の間だけです。ここは座面の変形と混じりま
> > す。2-3間は、0-1間の変形により生じた無理だけを吸収すればいいです。4-5
> > 間は2-3間が無理した分だけ、6-7間は...と次第に変形は小さくなります。ネ
> > ジ部全体の変形は起きません。
そう。まさに これ。
> だれも、常に、ねじ部全体が一様に伸びます。なんて、
> 言っていません。面粗さは(コンプライアンスの観点では)
> 関係ない、って、せっかくあれだけ わかっていただけるように
> 説明したのに、・・・徒労でしたか。
>
> さらに高次要因を持ち込んで、うやむやにしたいのか知りませんが、・・
いや、ネジの締結の「一番簡単なモデル」を見ても、山の撓みを
考える方が 「高次の要因」です。
んで、この締結のモデルが あるからこそ、「きちんと そういう働きを
するように」と 「規格」で 公差が 決められてきているわけです。
# だから、そんな ボロいネジは あるわけない と 言った。
# JISという権威&常識を 持ってきた理由は、そんなネジは 規格外
# なので、お目にかかり難いよ。。。という根拠です。、
先週、私も 言いましたし、さっきのメールでも 再度 書きましたが、、、
山は そのものは 応力を 大地のほうに 逃がす 断面形状です。
「雄ネジが 山崩れ でなく、ポッキリ折れる」ことを以っても、
雄ネジでは 山の撓み以上に 棒の部分が 撓むことは 明らかで
しょう?
# 断面形状を考え、雄ネジは ネジ山の大地の方が細いことを考え、
# しかも ネジ山の有効径周部の単位長さに比べ そこに掛かる力を
# 受けるべき 大地のほう長さのほうが 小さいことも 考えて下さい。
# 雄ネジ と 雌ネジ の縦断面を考えてみましょう。
# ネジの軸線に対して平行な力で 押し合いましょう。簡単のため、
# 有効径の高さは 山の稜線の中央だとしましょう。
# まず、厳密には 分散する力ですが、簡単のため、きっちり 法線
# 方向にだけ 真っ直ぐ力線が作用するとすると、力を受けたのと
# 反対側の稜線に交叉することなく 大地に抜けます。
# つまり、この力線は 山に曲げモメントを発生させず、山&大地に
# 引張/圧縮 力 を与えるだけです。
# 実際には 内部応力は分散するので、ネジ山に対する曲げモメントも
# 発生しますが、大地に抜ける引張・圧縮応力は決して小さいものでは
# ありません。特に雄ネジの場合、大地の部分の横断面が小さい(ネジ
# 有効径より 断面が 円の内側)ので、「ネジ山の変形に比べて 無視
# できるほど小さい変形」では ありません。
> 前回の説明では、理解の容易のため、ねじ部の生じるコンプライアンスと、
> 座面の面粗さの生じるコンプライアンスに大きく別けて考えたわけです。
>
> モデルを高次化して、分布常数系にしたり、立体的な応力分布を
> 論じ出したりしたら、そりゃもう有限要素法でも使って解析しないと
> わかりません。
# 今日では、ネジの挙動解析は 有限要素法やら 境界要素法でやります。
# んで、このあたりで やっと ネジ山変形の影響が 議論できるように
# なるんです。それを 昔のライツが 制御できていたとは 考えにくい。
> #でも面粗さはなかなか出てこないと思いますが。
>
> で、あなたの主張した、面粗さが生じるコンプライアンスは、
> 上の説明ではどこに入ってるんでしょうか??教えてください。
>
> で、あなたの主張した、面粗さというものは、コンプライアンスに
> 関しては支配的ではないというのは、よくご理解になりましたか?
これは、兄じゃの言うとおり、
座面の面粗さ(これは さっきのメールに書いたとおり)や ネジ山の
面粗さは 軸方向のコンプライアンスに関しては支配的ではありません。
# よっぽど 摩擦が大きければ 関与してきますが。
> さらに補足すると、
> 今回あなたが持ち出した話は、締結が進行した時点での
> 話になりますが、接触の瞬間を考えると、必ずしも分布常数的に
> 扱う必要はないのです。(力がかかるところが有限個の点だから、
> その点にかかる力の観点だけで論じれば、内部の分布常数的な
> 応力分布はブラックボックスとして扱えます)
>
> ここで問題にしているのは、ねじ部の加工精度と、座面の粗さと、
> ねじのクリアランスがなくなる瞬間の挙動(コンプライアンスの
> 生成要因)です。そこで、ネジ山が接触し、クリアランスが0に
> なった瞬間の周辺を考えると、ねじそのものにかかる張力は、
> その瞬間に向かって極限を取ると0になります。なぜなら、
> その瞬間は接触の瞬間であり、各部のひずみは0だからです。
>
> で、そのときねじの伸びは0ですから、先ほどおっしゃっているように
> ねじの基部に応力が集中しているということはありえません。
> だって、最初から誤差を仮定した議論ですから。
で、ネジの伸びがゼロなら 締結してません。
その状態では、レンズは 円周を撫でただけで 外れ、ヘリコイドを
回すこともできません。
> ねじ部の加工精度が低いことにより生じる、ねじの山のうねりや、
> らせんに沿ったねじ山のプロファイルのばらつきにより、統計的には
> ねじ山のどこかで最初の「4点目の」接触が起こったと考えられますが、
> その4点目がねじのどのあたりなのかも、わかりません。
>
> ねじのピッチが狂ってくると当然前後しますし、また、ねじのピッチが
> 完全に同一で、なおかつ座面に対してねじの中心軸が垂直であるなど、
> 統計的な平均が誤差0であるとき(つまり加工精度によるばらつきを
> 統計値で表現したとき、その統計量の平均となるところは、誤差0と
> すると)ねじのどの部分で最初に接触が発生するのかは、完全に
> 統計的にランダムとなります。
そういうネジを造ったとき、「4点目の接触」=「座面&ネジ有効径上の
スパイラル線 が 同時接触」になりますよね。
でも その時点では まだ「締結」してません。
# この時点で 締結できるとしたら、それは 「応力による締結」では
# あり得ません。
> そこからさらに ぐっとねじ込むと、伸びが発生していき、接触点が
> 増えていき、応力がねじ山の基部付近に集中していくのは、おっしゃる
> とおりだと思いますし、そのとき よしださんがおっしゃるように、
> 座面での摩擦モードが変化することもありえるでしょう。
私が 言ったのは、
通常:「座面トルク < 座面摩擦係数 × 座面圧力」
同じ材質 や 鏡面の場合 :「座面トルク < 座面摩擦係数 × 座面圧力 + α 」)
が 締結の条件で、
α として、ファンデルワールス力(カシミール効果?)が あるっつうこと。
つまり、
「綺麗に 面接触した瞬間に α が 発生する」ということを言ったのです。
んで、「αは 煎断方向に滑らしながら 圧縮すると 発生し易い」という性質
を持ってますので、こういう様相で 接する座面にとって、材質 や 表面粗さ
は 結構利くのだということです。
> はい、説明しましょう。
>
> ここでは、ねじをねじ込むときに発生する、ねじの軸廻りのトルクを、
>
> 1. ねじ部の摩擦抵抗
> 2. 座面の摩擦抵抗
> 3. ねじ部の斜面に、ねじの伸び応力が働くことによるトルク
>
> の3つです。仮に摩擦が無視できる程度に油などを使った場合を
.....
> で、そのまま 1. 3. と、座面の摩擦力が釣り合って
> 静止します。
ここは これで 基本的には 正しいです。
# 厳密には、少なくも精密な締結ネジでは、1 を考えるなら、
# 座面の(ネジレ方向の)残留トルクも 考慮しますけど。
# だから、「座面の変形」は「座面のネジレ変形」として
# 読んで貰うため...という理由で、書いておいて 正解。> 兄じゃ
んで、回転(ネジレ)方向の 応力の貯えの多くは、雄ネジの場合、
座面でもなくネジ部でもない、座面〜ネジ部の間の部分(不完全ネ
ジ部のあたり)に在ることになります。
雌ネジの場合は 座面接触部から内側の部分が対応しますが、
こっちのほうは 構造上 剛性が 断然高い&応力分散するので 殆ど
変形しない。
# 勿論、厳密には この2つの部分の 不静定問題として 扱うべき。
蛇足だが、通常のボルトでは 不完全ネジ部径 > ネジの谷径なので
ネジの谷から破壊されるが、不完全ネジ部径のほうが 細ければ こっち
から 破壊される。
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Koji YOSHIDA <yd@nikongw.nikon.co.jp>
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