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[nikomat 37919] Re: ボケ部分の情報量
ひうらっす.
デジタル写真の出力,特にインクジェットプリンタなどでの印刷では,
どうしても階調の表現が弱い感じがあるような気がします.
そもそもインクジェットプリンタでは,古典的な CMYK の4色インクでは
「インクが出たか」「出ていないか」の2値しかないわけで,
それの面積あたりの出現率で階調を出すわけです.
例えば 1440x1440 dpi の高解像度プリンタで,8x8 の画素を束ねて
180x180dpi のプリンタとして使えば,各画素は65階調しか持たない
ということになります.
(これを解決するために,古来から誤差拡散法などというような方法も
ありますが,やはり面積あたりで表現できる階調数には限りがある)
現在のプリンタは,解像度も上がっているし,7色インクなど薄いインクを
搭載する,また各ヘッドからの吐出量も何段階かに切り替えられますが
(1ピコリットルとか言っているやつね),本質的にはざらつき感と
階調の深さはトレードオフになってしまうんですよね.
特に問題があると思うのは,明度の低い部分の再現性ですね.
例えばシアンとイエローをいっぱいに吐出して重ね塗りすると,鮮やかな
明るい緑になりますが,ではもうちょっと暗い緑を出そうとすると,
マゼンタや黒をわずかに混ぜねばならず,ざらついたり,
濁った発色になったりします.
またインクは重ねる順番でも色が変わるし,紙への浸透や乾燥の速度にも
影響されるということで,プリンタメーカは日夜苦労していると思います.
1つだけいえるのは,メーカは純正のインクと紙でチューニングしているので,
最近の複雑で高度な制御をしているプリンタを生かすためには純正でなければ
実力は出ないだろうということはあるでしょうね.
そうでないと,切り替え部分(例えば,明度が暗くなったときに,CMYの
3色だけに頼っていたところから,黒を混ぜはじめるポイントなど)で
階調が不連続になったりしてよろしくないように思います.
最近のプリンタではインクの色数が増えたり,吐出量が切り替えられたり
するのはいいのですが,その前後でどうしても発色が微妙に違うため,
例えばある緑色がだんだんと暗くなっていくようなグラデーションでも,
その過程で微妙に色相がギクシャクと回ったり,滑らかな明度変化に
ならずに折れ線状になったりというようなことがあり,どうしても不自然
さがぬぐえないような気がします.
しかも結局,プリンタの「減法混色」では,色の再現範囲 (gamut) が
加法混色のディスプレイなどとは違うので,どうしてもごまかしを
しなければならない部分もあり,結局へんてこな色になってしまう
ことはあると思います.
同じデジカメからの出力でも,ピクトログラフィとか,フジのネット
プリントなどですと,各画素ごとに階調がありますから,暗部や
微妙な階調ははるかに優れていて,ボケた部分はあくまで滑らかな
感じが出るように思います.
>銀塩写真では,ボケた部分は,情報が拡散しつつぎっしりと詰まった
>無数の点像(フィルム上にはボケた広がりのある面として再現されてます)が
>重畳した映像です.しかも,被写体上の一点Pが例えば2mmの錯乱円となっても,
>その2mmの円上には,点P以外の前後上下左右無数の点の様々な径の錯乱円が
>重なっているわけで,どうも画家が下手であれば下手なほどその重畳を
>上手く再現できないようなのですね.つまり情報量を再現できていない.
>
>同じように,デジタル写真のボケをみていると,
>どうもそんな感じがしてならない.
>
>こんな直感はあたってますでしょうか?