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[nikomat 1332] Re:Bessa-L



よしだ っす。

なんか、ここまで拘られると、完全に締結モデルを理解してもらうしか
納得のいく方法はないのかなぁ?

In message <199901281319.WAA54248@ml.asahi-net.or.jp>
  at Thu, 28 Jan 1999 22:18:36 +0900
  "[nikomat 1329] Re:Bessa-L " 
  HIURA Shinsaku <shinsaku@vision.kuee.kyoto-u.ac.jp> wrote : 
 > そもそも国産車のホイールナットは、たいていテーパー座面なんですが、
 > これはホイールの位置決めをするための厳密な工作を怠けたいからです。

この例は辞めた方が良いですね。問題が更に混乱する。
テーパー座面であるか否かの前に鉄ホイールのほうは ネジ穴部が盛り上
がった曲げ材になっており、コンプライアンスが低いのです。んで、乗
用車の場合、それを利用して締結してます。だから カチッと来ません。
処が大型車の場合や、欧州車などで見られる、平らな座面を持っている
場合、カチッと来ます。
これは 全て コンプライアンスのせいで、実際に このコンプライア
ンスを計算して設計されてます。

# 本田や鈴木やトヨタには、実際に資料提供したことがある。
# なぜなら、修士のときの研究室では、半数の人が 振動による緩み を
# やっていたから。

 > ネジそのものとしては、
 > 大きさのわりにカッチリ来ない部類だと思います。

ですから、国産車の、特に テーパーネジの場合は そうでしょうね。

# アルミの場合も、テーパーネジのほうは ネジ穴部の鉄部分の
# コンプライアンスは 低く設計されるんです。

 > ## 原因は・・座面も塗装していたからだそうです。バカな・・

これは とっても妥当な考えです。全然 馬鹿げてないです。

ボルトやナットの強度区分の高さに比べ、コンプライアンスの低い
ワッシャーなどを入れると、緩みやすくなります。
塗装面が作る皮膜のコンプライアンスがネジよりも低ければ 起こっ
て当然です。

 > # 接触します。相対的な話しではありますが・・ネジに対して、
 > # 座面が傾いているから、座面が端から着地する、なんていう
 > # 考え方はおかしい。

誰も そんなことは 言ってないです。

ネジに対する 座面の傾きを云々するほど、ネジのヘリカル面は
面要素を決定できるほどの精度は持ち得ない と 言っているんです。
全く誤差0でネジ面が作られていたとしても、雄ネジと雌ネジが
有効径で接触できるのは、締結されたときに 初めて なんです。
だから 座面が傾いていようが居まいが、厳密に言えば 実際は ガタ
の分、どうしても端から着地してるでしょうね。。。という意味。

# このへんは、’85年に 日本機械学会 ネジ研究会で 出した、
# ベルナール・ロッツェ(ドレスデン工科大学)先生の ショート
# ノートに日本語(訳と注は 私 が やりました)で書かれている
# ので 参考にして下さい。

 > # ・・そもそも、そういうネジは、レンズマウントの場合、
 > # よっぽど、ねじれてる不良品だし、締め付け不足だと、
 > # 傾いたままになっちゃう。

恐ろしく 勘違いしており、恐ろしく 曲解してますね。

 > これが、まさに締め付け終盤の問題なんだと思うわけです。

# 目の前にある 理論的短所(コンプライアンス)に目をやらず、
# なぜ そっちに いっちゃうのかなぁ?

 > よしださんがおっしゃるように、座面の面積は、ネジの接触面積より
 > 一般に大きく、また歪みにくいです。すると、ウネリによる座面の
 > 接触面積の変化、またそこから締め付けていくことによる座面の変形、
 > それに応じた応力の発生と、
 > ネジ部のウネリによるネジの変形、伸び、応力の発生と、
 > どちらが支配的でしょう?

あきらかに 座面の狂いの方ですね。

座面の加工そのものは 平面性が 高いです。
厚板の加工ですので、平面性も平行性も 簡単に精度がでます。
したがって、この平面度が狂う場合、マウント板の 表裏の
平行が 保たれたまま 歪みます。
この時点で、このマウント板の「面接触時のコンプライアンス」が
一気に低くなります。
つまり、ばね座金を入れた締結モデルと 同じになるわけです。

# これは 実際に 修理をやった経験からも言ってます。

 > 両者には同じ大きさの力が働きますから、より大きく変形する
 > のはネジの方ですよね。

違いますね。

 > とすると、カッチリ感に大きく影響
 > している(回転角と引っ張り力の関係に大きく寄与する)
 > のは、同じウネリ量だと、ネジのほうですよね?

だから これも 違いますね。

 > 例えば仮に、
 > 
 >   あるウネリの量だけ、マウントの平面性が崩れて
 >   いて、でもネジは綺麗に螺旋。というマウントと、
 > 
 >   逆に、マウントは完全に平面だけど、ネジは同じように
 >   うねっている。
 > 
 > というネジ、ふたつ用意します。
 > このとき、カッチリくるのはどっちですか?

後者のほうに、「でも、ガタが出る程度の隙間と、座面が最初に
面接触可能となった瞬間にも まだ ネジ部には隙間がある」とい
う条件(何度も言ってますが、この条件程度の加工は 出来て当た
り前)さえ加えて戴ければ、前者のほうが カッチリ です。

# うそだと思うなら 実験して見みてください。
# 私は 過去 そういう百種類以上の 色々な精度の ネジの締結データを
# 数百以上 見てきました。

 > マウント座面のほうは、機械的強度が高く変形しない、
 > 伸びないんだから、影響が小さいはずですよね?
 > 
 > ネジのほうは、伸びていき、変形するから、精度が狂うと
 > だらだら応力が立ち上がりますよね?

台形ネジや三角ネジで しかも あんな細かいピッチのネジの場合、
その応力の立ち上がりを手に感じるころには、ネジ部は 何らかの
破壊していると思いますけどね。

 > 座面の接触面積が違いますが、これは最終的な摩擦力の
 > 大小に影響はしても、カッチリ感には関係ないですよね?

平面度が高いという前提なら、接触面積が大きいほど、カッチリ
します。なぜなら、真空高価による摩擦の立ち上がりが より 急
激になるからです。

 > よお〜〜っく、考えましょう。自分で。

今日 私が書いた文章を 一つ一つ 理解しながら 読んでみて下さい。

精密機械要素としての ネジを考える場合、ネジの何処に精密さを
求められるか、どこに精度の悪さを逃がすか、っつうテーマで、
titの精密工学研究所に ネジの研究室が あるわけです。

# これまでの例は、全て コンプライアンス で 説明できる現象
# ばかりです。異論があるなら、まず これを否定してください。
# そうしたら、素晴らしい論文が 書けますよ。

なお、振動(含:超音波)による ネジの緩みを(同級生が)やっ
ていたので、結構 詳しい(精密工学研究所 所属の研究室は 修士
は学年2名までだった)のですが、応力ゼロ、弾性域、塑性域 の
挙動の3フェーズの違いしか(1986年当時は)無かったです。
締結が行われる(ガタが取れ出す)過渡的状況における挙動につい
ては知りません。でも カチっとくるのは すでに締結域ですね。

# モノが固定されたことを持って 締結 と 呼びます。
# その固定の強さには 依存しません。

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Koji YOSHIDA   <yd@nikongw.nikon.co.jp>
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