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[nikomat 9534] Re:ドイツ
佐伯です。
Shin SUGIYAMA wrote:
>
> すぎやま です
> ドイツのワイン造りに無理があるのは確かで、
> 気にかかる点も多いですが、
> 高くても、小手先でも、不健康な業界が作っても美味しければいい気がします。
> 好みの問題になるので難しいけど、ドイツの辛口白は特有の味があるし、
> 存在意義は充分あると思います。
>
> ぼく自身はhalbtrockenは買わないし、trocken表示も当てにしません。ドイツはアル
> コール度数が結構真面目に書かれているので、それを見て最低12.5%、できれば13%
> 以上あるrieslingのkabinettを飲んでみてください。日本で3-5K、現地で25-35マル
> クを想定しています。料理との相性もあるので、取りあえず美味しいバゲットと固い
> 山岳チーズで試してみてください。
済みません。引用文中の中、一寸疑問があります。
●アルコール度数の表示
まあ、これは本当にどうでも良いことですが、ラベル上のアル
コール度数の表示の元は米国対欧州の農産物戦争です。米国産の
農産物を欧州が輸入制限するとかその反対が頻繁に発生、米国は
非関税障壁的に、輸入が許可されているものに関してもいろいろ
制限を付けるようになりました。その一つにラベル表記があった
のです。字体の大きさとか、made in XYZと必ず表記しなければ
ならないとか。アルコール度数もその時義務表示とされたもので
す。その規制に合わすようにヨーロッパのワイン法も改訂されま
したので、欧米産に拘わらず、欧米向けのワインには必ずアルコ
ール度数の表示が有ります。日本向けにはラベル上に記載義務は
無いのですが、もともと印刷していますから、ドイツワインに限
らず、殆どのワインには記載してあるでしょう。これは83年か
ら義務づけられました。
同時期に変わったのは瓶の容量です。これも750ccに統一
されました。例えばドイツは伝統的に700cc、ボルドーは7
20ccなどt、各生産地域でばらつきがあったのを、米国から
の要求で750ccに変更しています。
●アルコール度13%のカビネット?
まず、ドイツワインの等級ですが、70年のワイン法(施行は
71年から)でようやく定量的に定められました。カビネットに
関して言えば、補糖が許されないプレディカーツワインと呼ばれ
る等級グループの最下位に位置しています。その等級は収穫時の
ブドウの糖度で決められます。それぞれの等級には最低糖度が定
めらており(あくまで最低のみ)、それ以上の糖度を持ったブド
ウから造られたワインには、基本的にそれぞれの等級を名乗る権
利があります。
カビネットですが、その糖度辺りのブドウから造られるワイン
(辛口)はアルコール度数はせいぜい9%。前述の様に、最低糖
度が定められているだけであって、2等級上のアウスレーゼ規格
のブドウを使ったワインをカビネットと表示出来ないことはあり
ません。事実、甘口ワインではこの様なことはまま有ります。し
かし辛口ワインでは話が違います。
ドイツワインの場合、販売する前に、各地の公認の検査機関に
よる官能検査が有ります。ここではそれぞれのラベルに記載され
ている内容に相応しいワインかどうかチェックされます。
通常、リースリングの辛口の場合、前述のようにせいぜい9%
〜10%程度です。そして、そのようなワインが基準とされてい
ます。ここに突然13%のリースリングがカビネットとして出さ
れても、まず確実に検査をはねられます。これがシュペートレー
ゼとかアウスレーゼと表示があれば別です。
ですから言われるような13%アルコールのリースリングのカ
ビネットが市場に存在するというのは、もしあっても極例外でし
か有りません。逆にテーブルワイン(ターフェルヴァイン)では
そういうのは良く有ります。昔の日本酒みたいに、検査に出すの
がいやだったから2級酒にした、みたいなものです。
信用できるのは辛口、中辛口の表示、アルコールの表示、等級
の表示でもなく、誰が造ったかということに尽きます。
ドイツワインに関してはなんだかんだ20年も付き合い、仕事
のねたともなってきましたが、試飲以外で自腹を切って飲んでも
良いワインの生産者、というのは現在数件です。つまらないのを
飲んで肝臓の寿命を縮める事ほど悲しいことはありません。
もっとも飲むときの精神状態の方が、体に大きく作用するよう
ですから、楽しく飲んでいれば、メチルアルコールでも飲まない
限り何を飲んでいても気にすることは無いのでしょうが。
でも本当に13%のリースリングのカビネットというのは珍し
いので、宜しければ銘柄でもお教え下さい。
BYE!