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[nikomat 29161] Re:BC−4
川口です。
丹後屋さん
> > このことは T や T(Ag1) といった浅いトラップに電子が捕獲された状態で、
> > 次の光量子が来るまでの時間が開くということを意味します。
> > この間に、トラップされた電子が熱的に励起してトラップから抜け出ていくと、
> > 亜潜像核は破壊されてしまいます。
> ここを防ぐのが、★の人達が使う、冷却方ですね。
その通りです。前露光で亜潜像核を作っておいたり、後露光で亜潜像核を
潜像核に成長させるのも有効な手段です。
熱的な潜像核の破壊は、低露光部ほど影響が大きくなります。
★や暗部の描写を重視する場合には、撮影後すぐに現像しましょう。
> > 銀サイズが4個になるまでに、4個+熱励起で失われた電子の個数の
> > 光量子の入射が必要になり、入射光量子の利用効率が悪化します。
> > これが低照度相反則不軌です。
> この4という数字には何か意味があるのでしょうか?
> 化学の言葉を忘れてしまいましたが、結合の腕の本数でしょうか?
理論的な裏付けのある値というより、実験的な値みたいです。
現像は、ハロゲン化銀に現像主薬から電子を与えてハロゲン化銀粒子全体を
還元する酸化還元反応です。
潜像の金属銀は、この反応で電子を受け取るための「電極」として働きます。
電極として働くにはある程度の銀サイズが必要であり、それが4個ということです。
金属が金属的な性質を持つためには、ある程度の原子が集まって、バンドが
重なり合う必要があります。
ただし、現像開始時の反応機構については他にも諸説ありますので、
この説明が正しい保証はありません。
> してみると、
> 長文堂さん指摘の閃光時間と、当時のカラーフィルムの性能から、
> 1/1000程度でも既に高照度相反則不軌が起こっていたから、という理屈は
> なるほど、と実に納得です。
>
> まごめさんの調査のその後を待つ。
> (SB-1のGN決定はニコン内部ではどう解決されていたのか?)
当時の結晶成長の技術を考えると、高照度相反則不軌もやむなし、と思います。
励起電子の捕獲効率を高めて感度を向上する目的で、故意に電子トラップを
導入する(副作用として高照度不軌が悪化)なんてこともやっていたみたいです。
ついでに、[nikomat 29037] Re: 相反則不軌
rinさん
>64T(RTP)タングステンタイプフィルムの相反則不軌適性を見てみたら、
>http://www.fujifilm.co.jp/pro/film/rtp/rtp-d3.html
>1/15秒〜16秒!!の範囲で補正不要でした。
>それ以上早いのは「お勧めできません」とのことです。
>三脚必須のフィルムだったのか(^^)
そりゃそうです。
ISO64、タングステン光源で高速シャッターが切れる状況は滅多にないでしょう。
F45とかF64まで思い切り絞り込む4*5の商品撮影や、F2で1/15がやっとの
電球照明の屋内撮影に焦点を合わせた、意図的な設計だとおもいます。
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yujiro kawaguti(川口 裕次郎)
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