[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[nikomat 29240] SB-1のガイドナンバーあわせ



まごめ@調査員です。

【ご注意】そのまま転載しないでくださいね。

丹後屋さんから出された質問の解答です。

その前に質問の復習ですが、
「ニコンの最初のストロボSB-1のガイドナンバーはモノクロと
カラーで1EV違っている、これはなぜか?」 です。

これに対して、
丹後屋氏の実行感度・感度定義説、黒蛙の井桁氏の相反則不軌説、
長文堂氏の白玉青玉説、さいごに村上氏のガイドナンバー背伸び説が
ありました。

この中に正解がありました。  それは村上博士説です。

識者よりの解答です(一部短く、手直ししています)。
---
これはSB-1に限ったことではなく、当時のカメラ雑誌などを見ると
わかりますが、ストロボはけっこう長い間カラーとモノクロでガイ
ドナンバーが異なり、両方併記する習慣が続いていました。

別に理論的な根拠はありません。ストロボが出た当時は、その光量
がフラッシュバルブに比べて、どうしても見劣りするものだったの
です。なにしろバルブではNo.5クラスではガイドナンバーが50程度、
AG-1などの超小型のものでさえGNは30くらいのものがあったのに、
ストロボはグリップタイプの大型のものでさえ、20まで行くか行かな
いかというところでした。

そこで、少しでもGNを大きく見せるためにこんな表記をしていたの
です。カラーよりモノクロの方がラチチュードが広かったので、結果
が少々露出不足でも許容されていたのです。

そのため、当時のカメラ雑誌などでは、モノクロフィルムでストロボ
撮影の際には、現像時間を延長するようになんて、本末転倒のことが
まことしやかに書かれていました。ガイドナンバーの誇大表記を、増
感で救っていたわけです。カラーでは自分で現像する人があまりいな
いので、こんな芸当はできず、GNの表記も実力をそのまま表すことに
なっていました。

こんなまやかしがいつまでもまかり通るわけではありませんので、そ
の後GNの二重表記は姿を消しましたが、SB-1の場合は、その名残と
おもいます。

---
当時の背伸びがうかがわれます。
また、現像などは村上博士の言葉どおりです。以下、村上博士の
背伸び説。


> 村上@主電池充電のため夜間浮上中 です。
> 
> 馬込さんへ
> 仲間に入れて下さいな。
> 
> 
> 以下は、僕が小さいころ聞いて、いまでも信じている説です。
> うろ覚えなので、眉に唾を付ける準備をしてお読みください。
> 
> #SB-1ってストロボのお話ですよね。
> 
> 普及し始めたころの各社のストロボは、技術的に苦しくて、
> 誤差として許される範囲でサバを読んだGNだったと聞きます。
> たとえば、GN14をうたったストロボの実力はGN10程度
> だったように。
>  カラー撮影では、増感に類する行為は事実上不可能(当時)
> だったので、掛け値なしのGN(例では10)で撮りますよね。
> 
> ところがモノクロは、背伸びしたGN(例では14)で撮って
> 押し気味に現像する。町の写真屋さんの深タンクでも、愛好家の
> 現像器でも1割くらい?延長する。当時のどの技法書を読んでも
> ストロボ撮影の時は現像を押し気味にせよと書いてある。
>  その結果、ひとつには、ありがちな眠い感じが、ネガの肉乗りに
> よって改善され、しゃきっとしてくる。
> そして、事実上の増感によって、見かけ上GNが大きくなる。
> 
> まあ、苦肉の策なんでしょうね。
> 
> その後、キャパシタの発達等によって、ストロボも改良されていって
> 掛け値も、背伸びもいらなくなってめでたくカラー時のGNと
> モノクロ時のGNは統合されてひとつになった。
> めでたし、めでたし。
> 
> ということではないのでしょうか。

いやぁ、村上博士の知識はたいしたものです。

では。

--
MAGOME Nobutaka
magome@nikongw.nikon.co.jp